僕らはただ、恋がしたい
目を覚ました時、額にじんわりと汗をかいていた。
「………嫌な夢だ」
体を起こし、汗をぬぐいながら深いため息をつく。
あんな昔のあんな約束…今更思い出すなんて参っている証拠だ。
起きるにはまだ早い時間だが2度寝する気分にもなれず、仕方なくベッドから出た。
脱ぎっぱなしで放置されていたジーンズとタンスの中から最初に目に入ったシャツを取り出して着替える。
スーツ類のきちんとした格好で働くような職場ではないため服装はいつも適当だ。
ファッションに関心がないとも言えるが。
ズボンのポケットに財布を突っ込み、携帯を手に部屋のドアを開けたその瞬間。
目の前を上半身裸の男があくびをしながら通り過ぎた。