樹海を泳ぐイルカ
テストの結果が発表されて、僕は全てを手に入れたような感覚がした。
一番の進学校で学年一番を手に入れた僕は父さんに近づいた気がした。
僕の隣で中谷が歯を食いしばっているのに気がつかずに。
次の日、学校にいくと全てが変わっていた。
「おはよう」
と声をかけても誰からも返事は返ってこず、いつも当たり前のようにあった僕の席が教室のすみに移動されていた。
僕が手に入れたものは、指の隙間からいとも簡単にスルリと零れ落ちていったのだ。