樹海を泳ぐイルカ
「此処だ…!」
立ち止まった先にそびえ立つ建物をゆっくり見上げる。
「うわぁ…!」
透子は顔を輝かせて目の前の憧れだった地を眺めていた。
何階建てにもなった巨大な建物のてっぺんにはイルカと魚のオブジェがついていてシーランドパークとデカデカした文字でかかれていた。
その中に吸い込まれるようにしてはいっていく親子連れや恋人たち。
僕らは入り口横に設けられた混雑したチケット売場にならんだ。
「学生2枚」
僕がそういうとチケット売場のやたら愛想のいいお姉さんが業務的なにこやかな笑顔で“お楽しみくださいませ”の一言と一緒にチケットを二枚差し出した。
僕はそれを受け取ると同時に透子と顔を見合わせて、とまらない高揚感を顔にニカッと表す。
「行こう!」
「うん!」
そして遠足を待ちに待っていた小学生のように中へと走り出した。