樹海を泳ぐイルカ
音のない青に、閉じこめられた自由。
そこで華麗に舞う魚たち。
ゆっくり手を伸ばして確かめるようにガラスに触れてみる。
冷たいガラスが指に沁みて、心臓がドクンと響いた。
こちらの向こう側。
ガラスを通り越して館内放送を遮る。
ずっと、ずっと奥。
僕は意識をのめり込ます。
澄み切った限りない世界のなかで、果てを知らずに泳いでいる。
きっと昔、世界はこんな感じだった。
覚えたての呼吸をしながら。