樹海を泳ぐイルカ
イルカたちは滑らかな曲線美をあやつって、水中を切り裂いたり宙を舞う。
そのたびに水しぶきが黄金の粉のようにキラキラと地上に降り注いだ。
渦を巻くように回転すれば、それは永遠の入り口をつくっているようにみえたし
弧をつくって輪の中へ飛び込む姿はまるで太陽へ向かう戦士のようだった。
空とイルカが重なったときに、拍手がより盛大おこった。
この会場にいる誰もがその姿に魅了されている。
僕はすべての感覚が遮断されて、イルカが放つ妖艶的なオーラに見入っていた。
透子が僕の手を強く握る。
透子の生暖かい温度から興奮と熱望と他言い表しようのない感情が強く流れ込んできた。