樹海を泳ぐイルカ


母さんの背中はこんなにも小さかっただろうか?

「……母さん…ただいま…」


反応はない。


抜け殻のようにどこか遠くをみつめついる。


「母さん…ずっと言いたかったことがあるんだ…」



ずっと昔から、怖くて言えなかったこと。

言ってしまえば、母さんと自分の存在場所の両方を失いそうで言えなかった。





「僕は父さんになれない」









< 151 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop