樹海を泳ぐイルカ
母さんの肩が震えているのがわかった。
僕はどうしようもなくなって、震える母さんの背中を後ろからぎこちなく抱きしめた。
その細さと、か弱さに少し動揺した。
「………ごめん…」
「だけど、僕は僕にしかなれないから……」
母さんの嗚咽が聞こえる。
「彼方……ごめんね…」
涙がでた。
今までの僕の涙。
すごく暖かくて、くすぐったい。
「………うん」
震える母さんを僕は力強く抱きしめた。
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