樹海を泳ぐイルカ


樹海は相変わらず蒼々と多い茂っていて、大樹の吐く酸素が心地よく体内にはいってきた。

僕は連れなる大木をすり抜けて走った。


奥へ、奥へ、奥へ───





足を止めたのは、いつも透子と過ごしていたあの廃墟。





僕は肩で呼吸をしてそこで立ち尽くす。







耳を塞ぎたくなるような機材の音が樹海に響く。ブルドーザーらしき車が柱をひとつひとつ崩していく。
クレーン車が壊された鉄板を運んでいる。



取り壊し作業が始まっていたのだ。




< 154 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop