樹海を泳ぐイルカ
教室に足を踏み入れるときの震える身体が許せない。
僕は心を早く死なせなきゃいけない。
だけど、胃がキリキリ痛みだし吐き気が僕を襲った。
(しっかりしろよ。お前は何も感じないはずだろう?)
覚悟をきめて教室のドアをあけると、いきなりバケツいっぱいの水をかぶせられた。
「ドブネズミ!!!」
「ドブに帰れ!!!帰れよ!!!」
身体中が蝕まれていく。
僕の体内には寄生虫が住み着いていて器官を食い荒らしているのかもしれない。
「死ねよ!!!」
僕は両手、両足をしばりつけられ床におさえつけられた。
中谷が僕にまたがり、憎悪をこめた目で見下す。
「今日はみんなに面白いものみせてやるよ!!!」
中谷の呼びかけにクラス中から歓声があがる。
悪魔の儀式が始まる―――。
僕にはそんなふうに思えた。