樹海を泳ぐイルカ
透子の顔がスローモーシュンのようにゆっくり和らいでいく。
「うん、そうね。それが貴方」
「………違う!!!!違う違う違う!!!だって僕は……僕は…僕はこんなに弱くなんかない!!!!」
僕は弱くなんか、ない。
退屈なアイツらのために玩具役をこなしているだけだ。
最愛の人を亡くした可哀想な母さんに夢をみせているんだ。
全部、僕が操っている世界。
つまらない世界に最高の演出をしてあげているんだ。
それだけ。
この痛みは、僕なんかじゃない。
本当の僕はこんな痛み感じないはずだ。