樹海を泳ぐイルカ


それから僕らは何を話すわけでもなく、ただ隣にいた。


取り巻く空気は暖かくて、それが何だか心地良かった。







たまに透子の華奢な肩と僕の肩ぶつかると、それだけで

心臓が早くなる。
顔が暑くなる。
喉が乾く。







気付けば生暖かい通り雨がやんで、清々しい空が僕らの頭上に現れた。



目眩を覚える眩しい青。

緩やかな風が透子の髪をすり抜けていく。





僕らは果てのない永遠を見上げていた。



< 60 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop