樹海を泳ぐイルカ
たくさんの図鑑のなかからより詳しく書かれているものを厳選し、貸し出しカードに走り書きをして図書室をとびだした。
教室にむかおうともせずに、階段を駆け下りる。最後の三段なんか一気に飛び降りた。
靴箱に上靴を投げ入れてローファーに履き替える。
校門をくぐりぬけたとき、後ろめたさは微塵もなかった。
むしろ脱走者になったかのような高揚感と達成感で心が軽い。
僕は直射日光に目を細めながら全速力で樹海にむかった。