樹海を泳ぐイルカ
「あれ、珍しいね。彼方があたしより先に此処にいるなんて」
透子は微笑みながら僕の隣に座った。
そう。
僕がきたのは結局、樹海だったのだ。
学校への無断欠席の記録がまた伸びた。
「まぁね」
「あ、ねぇ見て見て!!」
“ジャーン”と言いながら、僕の目の前に紙を広げる。
僕はそれを透子の手から取り上げた。
「シーランドパーク…」
「そう!そこが、この町から一番近い水族館!バスで片道30分くらい!」
透子はイキイキとしていた。
パンフレットの中身は魚のマスコットキャラクターが水族館内の案内説明をして、地図や魚の種類なんかが分かりやすく書かれていた。
「早く行きたいなぁー…」
透子の横顔が
愛しくて
しかたがなかった。