樹海を泳ぐイルカ
僕は透子を笑わすために馬鹿みたいに必死になっていた。
「知ってる?パンダの尻尾は白いんだよ。なのにデパートなんかで売られてるパンダのぬいぐるみの尻尾はたいてい黒いんだ。偽物だよね」
「近所に住んでる強面のイカツイ大学生のカーテンは可愛いキャラ物なんだよ」
「昔、どこかの池にいた人面魚って覚えてる?」
柄にもなく冗談をいったり、ジェスチャーをつけて大げさに話したり。
それで少しでも透子が笑うのなら、大ハッピーで調子にのったりもした。
甘ったるい妄想をしていたんだ。
僕が
僕が
透子を守れたらって。