樹海を泳ぐイルカ
全身に毒がまわった感覚がした。
視界がゆらめいて
吐き気がする。
僕は立っていることができなくなり、座り込んで吐き気をこらえた。
苦しい。
苦しい。
「ゲホっゲホっ…」
胃が暴れ出す。
僕を壊すように。
「うゎー…何こいつ」
「調子こいてんじゃねーよ」
「自業自得なんだって」
うずくまる僕を取り囲んで蹴りつける。
それは腹や肩、顔に命中した。
笑い声が止まない雨のように降ってくる。
「死ねよッ!!!!」
……僕は
「気持ち悪りぃ!!!」
……ほんとは
「ゴミなんだよ!!!」
……父さんになりたくないんだ
「あれぇ??まだ死なないの~??」
……ただ“僕”を生きたい
「死ねやコラァ!!!」
……それだけだったんだ
「消えちまえ!!!!」
………それが許されないなら
「生きてる価値ねーんだよ!!!」
………海に還りたい
海の底で、静かに。