強気な女に裏あります。
学校に着いたと同時に七菜はドジっ子になる。
切り替えが早いところはいつも尊敬する。

あたしなんかもうドキドキしながら演じるからたまに『顔色悪いよ?』て言われるんだよね。

なんて考えてたら後ろから声が聞こえた。



「早坂さーん」



名前を呼ばれ七菜と一緒に振り返ると、平泉君がそこに居た。

清々しい朝。
その平泉君の笑顔は爽やかだ。


うん。
さすが爽やか王子だね。
だけど昨日の出来事を思い出すと……気まずい、かな。



「おはよう」


「おっ、おはよう」



昨日の朝はすれちがっても挨拶すらしなかったんだけど、こう……いきなりの展開にみんなはジロジロと見てくる。



「おはよう、平泉君!」



さっきの声とは違う、少し高い声で挨拶した七菜。
わかりやすくいえばぶりっ子してるちょっと甘ったるい声。

本人はこの声が嫌いらしい。



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