両想い【完】


「えっ?あっ…うんと…アハハハァ…」


乾いた笑いをして誤魔化してる。


「ハハハッ!!美愛ちゃんお待たせ♪
話し、聞かせて。」


「!っうん!!」


***


「休み時間のたびに猪瀬君の席に
行くんだけど、何だかタイミングが
合わなくてお昼休みになってね」


「うん」


「とにかく直ぐに声をかけたの、
それで屋上前の踊り場まで来て貰って…
お返事、したの」


「あぁ」


「私は『お友達』って言われて素直に
嬉しかったこと、お話しするのが
増えて楽しかったこと、でも…
楽しいけれどキュンてしたり
ドキドキしたりはしませんって。
…なんか…酷いこと言ってる、私…ハァ…」


ため息をついて落ち込む美愛。


「で?」


「うん…、それでもお友達でいたらって
言ってくるんだけれど、
これ以上時間を重ねてもお友達で、
恋愛感情はないですって、
いっちゃったの…」


「そしたら?」


「そ、そうしたら、ね、……」


何だか少し、いや、かなり言いにくそうだ。


何かされたのか?


「えっと…両肩をね、掴まれて…
『どうして言い切れるんだ!!』って言われて
…そ、そのまま…なんか…
抱きしめられてて…ン…ン」


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