両想い【完】


くそっ!!猪瀬のやつ!!


「もう……止めとこうか?」


「聞くの、ズッ…疲れちゃった」


「いや、俺はまだまだ聞きたいよ、
美愛ちゃんが大丈夫なら。」


「ん、大丈夫…ビックリしたのを思い出して、
少し、ね。…ふぅ~!」


深呼吸をしてからまた話を続けた。


「でね、離してって言っても無理で…
仕方がなくて…そのまま
言うこと伝えなきゃって…
私は猪瀬君を、猪瀬君のことを
恋愛で好きにはならないですって…
酷いんだけど…言い切ったの…」


「ん」


「だってね。嫌いではなくても、
好きにならない感覚って…
上手くいえないけれど…あると思うの…」


「あぁ、すげぇ分かる気がする。
本質的に合わないやつとか、
楽しいけどそれだけとか、
本能ってか、心で感じてるみたいな…」


「うん、うんっ!そんな感じなの。
でも、猪瀬君は…
これからまだ分かんないって…
私の気持ちは分かって貰えなくて…
で、ね?」


また、少しだけ口調が変わった。


「頭を、ね…押さえられて…っね
…ほ、ほに…ッ…ク…うぅ…」


電話越しがもどかしい…美愛を抱きしめて大丈夫だって、言ってやりたいっ!!


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