両想い【完】
「美愛…言葉にしなくていい…
だいたい…何があったか分かったから…な?
辛かったな…よく頑張ったよ」
猪瀬は美愛の頬に無理矢理キスしたのだろう。
あの感じではそれ以上はさすがに、学校内だししてないだろうが。
「ゆ、う、く…っ…
う…わぁぁ…あっぁ~ん、
ん…くっ…うぅ…う~」……
しばらく電話の向こうから堪えきれなくなった美愛の泣く声だけが聞こえてた。
俺は黙ってただ、待ってた。
***
「ゆう、くん?まだ、これ…繋がってる?
そこに、いてくれて、る…?」
どのくらい経っただろう、美愛がか細い弱々しい声で聞いてきた、切れたと思ったのか?
「美愛…ここに居るよ。
大丈夫だ。…それで、
猪瀬を突き放して話しは終わり、だな?」
「あぁよかった…
ありがと。うん…そう…。
ビックリしたあと…
とにかく思いきり押して…離れた…
頬…イヤで、顔を洗って…
教室に戻ったの…話、ちゃんとは…
分かって貰えなかった…悔しいよ…」
「まぁ、仕方ねえな…、
言うだけは言ったんだ。なっ?
また何か言われたらそんときはまた、
伝えればいいよ。」
すっかり、誠実・真面目系に切り替わったつもりの俺は、そんな風に励ました。
なにげに、名前を呼び捨てにしてしまったが…!?
気がついて、ない?