両想い【完】
一瞬戸惑った様子をみせたが、自力では無理だと理解したんだろう、おとなしく俺に姫抱っこで抱えられたまま、保健室へ向かう。
聡は3人分の鞄を持ち後ろから着いてきた。
***
保健室のベッドに寝かせると、早速養護教諭が「何があった?」と聞いている。
俺と聡は口を挟まずに様子を伺っていたが、予想通り美愛は『自分でふらついたら頭が壁にあたった』を繰り返すだけ。
教諭も仕方ないと諦めて、コブになっているところに氷を当てて、あとは傷がないかみていた。
「井上さん立ってみて」
保健室にきて15分くらい経っただろうか、美愛がゆっくりとベッドから立ち上がる。
「中田せんせ、大丈夫みたい…
ご心配おかけしてすみませんでした。
ありがとうございました」
「そう?無理はダメよ?
高城君達と帰れる所までは一緒にね。
高城君、栗田君宜しく」
「それと、井上さん。急な頭痛があったら
薬は飲まずに病院か私のところに来なさい、
これは大事なことよ?わかったかしら?」
「はい…分かりました、それでは失礼します」
***
3人でゆっくりと駅に向かう。
鞄はずっと聡が持ってくれ、俺は背中を支えながら直ぐ横を歩く。