両想い【完】
「あっ、それ私も美愛に聞いたんだよね、
前に。あたしもさ、
そりゃあ、相思相愛っての?
両想いが一番いいに決まってるけど、
そうは言っても彼氏欲しいしぃ。
で、付き合ったら見えるものも
あるかもよ?って進めたことあってさ。」
「ちょうど、文化祭の頃で。
やっぱカレカノで回るとか、いいじゃん?
そしたら、美愛、
想ってくれてる彼氏を自分も
全部で想いたい。そんなパワーのいること、
何人も経験しなくても私は大丈夫って。
さらっと。」
「へぇ~かっけぇなぁ!!……
で、そもそもなんで祐は美愛ちゃんのことを
山野に聞いたわけ?
…お前由紀ちゃんいるよな?」
山野から俺に向き直り、急にストレートに聞かれて、焦った。
「イヤ…由紀はかんけ~ねぇし。
朝、見かけてからちょい気になって…」
「あぁ~、朝は恥ずかしかったよお…
あんま、じろじろ見ないでよね…」
山野は泣いた顔を見られたことが、余程嫌だったらしく、眉間にシワを寄せながら言う。
「じろじろ見たつもりはねぇけど…
悪かったな…」
俺は山野に謝った。