両想い【完】
運ばれた幸運
***
「あのね、祐君、さっきの
同じフォークで祐君にイチゴを、
なんか、『あ~ん』ってなっちゃって、
私…考えなしで…ごめんなさい…」
歩き始めてすぐに、美愛は謝ってきた。
「あ~まぁ照れたけど、嫌じゃなかったよ。
『あ~ん』ってのも、
同じフォークを使ったのも、
だからそんな、謝んな。
でも、これは言わせて?
さっきみたいのは、俺は、
美愛だから嫌じゃないんだ、
美愛しか、あんなことさせたくないから…」
「!!…ん、うん、わかった。
そっか、うん。ありがと、
私も、祐君以外にはあんな仲良しなこと
出来ないの…したくないし…」
「それ聞いて安心した、他のやつらととか、
考えただけでもイラつくし。」
「私も…もしも真琴ちゃんが同じことを
祐君にしたら…やだ…
考えると悲しくて苦しいよ…やだなぁ…」
少し頭で想像したらしく、あっと言う間に涙目になってきた。
「うわっ、泣くなって、してねえだろ?
これからも他のやつとあんな風にしたり、
傍にいたりしねぇから、
美愛だけだから、な?」
恥ずかしいとかは、今は感じなかった。
ただ、幸せな気持ちを胸に抱えて、精一杯の優しさで伝える。
もう、このまま、気持ちを伝えてしまいたくなる…どうすべきか…