両想い【完】
慰められて落ち着いてきた吉村さんはチョコを持ったまま友人と行ってしまった。
『どうせ井上さんが私にヤキモチをやいて、田上君に渡したチョコを取ったんだ』と周りに話して。
みんながいなくなっても、美愛はしばらく動けなかった。
その日は部活にもいかなかった。
翌日、2年の廊下や教室は美愛を悪く言う噂ばかりで誰も、美愛とちゃんと向き合い話を聞いてくれる人はいなかった。
美愛のチョコはその後田上君に渡されたらしい。
美愛は自分がそんなことをする女だと簡単に思われるのは、自分の日頃の素っ気なさやいろいろ悪い所があったのだと、昨日の夜に反省した。
が、あからさまに陰口を言われてしまうと、とても苦しかった。
さらに翌日、田上君ともう一人水沼君と、そして吉村さんと友人が廊下で話をしていた。
美愛を見ると『ヤバイ』と散ってしまったが、後で水沼君が少しだけ話をしてくれた。
『俺が病気明け学校に来たら机に
田上宛のチョコが入っていた、
田上に渡そうとしたら田上は一度開けて
半分包み直した同じようなのを
持ち吉村に話しかけてた。
俺は側に行き田上に渡すと、
それを見た吉村は焦った顔で
私が間違えるなんて有り得ないとか
言いながら田上から開けかけの包みを奪った
そこに井上が来た』