両想い【完】
美愛は全くの被害者だ。
その後、美愛のチョコは吉村さんの友達から返されたが謝罪はなかった。
もちろん田上君からも。
だから、真実は当事者のみしか知らず、泣き叫んでいた吉村さんの言い分を信じた噂はそのまま残った。
***
「私ね…その時、とても悲しくて…
信じる信じないもそうだけれど誰も、
誰一人私に何があったの?って
聞いてくれなくて…
私は外側しか見てもらえていないって感じて。
だから、私は少しでも関わる人には
真っ直ぐ向いていたいと思ったの、
私みたいに心が痛い思いは
させたくないって…相手の言いたいことや
伝えたいことは一度受け止めるべきだなぁって…」
「そんなことがあったんだ…
よく頑張ったな…」
「今はね、真琴ちゃんがいるでしょ?
巡り会えて幸せ。初めての日ね、
『あなたとあたしって、きっと心が合うから、
いい?今から親友ね!!』って、ふふっ
すごいよね、未来が分かるなんて、
そしてほんとに当たるなんて…」
「すげぇな、山野…
中学の時はよく遊ぶとかはなかったけど、
まあ、騒がしく元気なやつだったなぁ」