両想い【完】


ベッドの美愛に近づき横に腰掛け、そっと肩を抱き寄せてみた。


泣いた顔で見上げる美愛が愛しくて可愛くて手に思わず力が入る。


「ありがとう…俺を好きになってくれて」


ほんとにそう思った。


春からだけでも、俺と美愛の周りにはいろんなやつの『好き』があった。


由紀の思い


葵の思い


猪瀬の思い


1年の思い


***


今日美愛が、俺に想いを伝えるって決めて、実際に勇気を出して伝えてくれた。


こんなにも真っ直ぐで、誰に対しても誠実であろうとして。


自分に責任を持っていて、省みる勇気もある。


素直で顔も可愛くて…裏表なくて…


そんな、言い出したらいくらでもってくらいの美愛が俺を好きだって…彼女、なんだ!!


信じられないくらいの幸運が俺の元に来た。


絶対離さない。


***


「美愛、大切にする…
お互いに何でも話そうな、今までみたいに…」


「うん!私も…ありがとう…
かっこよくて優しい祐君を、
か、彼氏…なんて言えて…えへへ…
恥ずかしいけど、嬉し、い」


笑顔になり、そういってくれる。


「美愛、すげぇ嫌だけど、
明日のテストは頑張りたいから、
今日は帰るな…」


瞬間、時計を振り返り驚いた顔のあと、ガッカリし、急に真顔に…


< 143 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop