両想い【完】
ベッドの美愛に近づき横に腰掛け、そっと肩を抱き寄せてみた。
泣いた顔で見上げる美愛が愛しくて可愛くて手に思わず力が入る。
「ありがとう…俺を好きになってくれて」
ほんとにそう思った。
春からだけでも、俺と美愛の周りにはいろんなやつの『好き』があった。
由紀の思い
葵の思い
猪瀬の思い
1年の思い
***
今日美愛が、俺に想いを伝えるって決めて、実際に勇気を出して伝えてくれた。
こんなにも真っ直ぐで、誰に対しても誠実であろうとして。
自分に責任を持っていて、省みる勇気もある。
素直で顔も可愛くて…裏表なくて…
そんな、言い出したらいくらでもってくらいの美愛が俺を好きだって…彼女、なんだ!!
信じられないくらいの幸運が俺の元に来た。
絶対離さない。
***
「美愛、大切にする…
お互いに何でも話そうな、今までみたいに…」
「うん!私も…ありがとう…
かっこよくて優しい祐君を、
か、彼氏…なんて言えて…えへへ…
恥ずかしいけど、嬉し、い」
笑顔になり、そういってくれる。
「美愛、すげぇ嫌だけど、
明日のテストは頑張りたいから、
今日は帰るな…」
瞬間、時計を振り返り驚いた顔のあと、ガッカリし、急に真顔に…