両想い【完】


「クククッ…美愛…顔…忙しいなぁ」


「ふへっ?」


『アハハハッ!!』思わず声をあげて笑ってしまった、百面相みたいでコロコロかわる表情が可愛かった。


「?祐君ごめんなさい、
お話し長くなって帰るの
遅くなっちゃったね…」


「いいんだ、今日は。
俺は幸せだし、
必要な時間だったって思うから、美愛は?」


何度でも俺への言葉が聞きたくなる…


「そうだね、必要な時間だった
忘れられない、宝物だね、嬉しい…」


「美愛…」


少し体を美愛に向けて両腕で抱き締める…。


ほんの一瞬ピクリとしたが、直ぐに背中にふわりと美愛の手が添えられた。


抱き締める、にはまだまだな感じだが、美愛の答えようとする気持ちが伝わってきた。


少しだけ顔を引いて美愛を覗きこむと、瞳がクルクルと不安げに揺れていた。


「美愛、俺見て…」


優しい声になるようにゆっくり静かに言うと、美愛もほんの少しだけ体を引いてから、俺を見上げる。


「好きだ…」


言ってからゆっくりと顔を傾けて目を閉じながら美愛の唇へ…自分のそれを触れさせる…


初めての美愛とのキスはふわり柔らかく、暖かかった…


キスをして、こんなに心が満たされるのは初めてで、驚いた…



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