両想い【完】
噂のカップル
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7月17日、快晴。
今日は数学、英語R、物理。
『今日から美愛と“二人で”学校行くから』
聡にこれだけメールし、7時半に自宅を出た。
駅まで徒歩で7、8分、美愛の言う電車は俺が今までに乗ってたのより1本だけ早かった。
7:51、西中央のホームに目を向けると、1つずれたドアの前に美愛が並んでいた。
美愛も気がついたらしいので、降りずに待ってると、数人の乗客とともに入ってきた。
動き出した電車の揺れに気をつけながら俺の方にやってくる。
***
「おはよう♪祐君!」
俺の大好きな笑顔で言ってくれる。
今日はブルーのシャツでたまたまお揃い。
「はよ…ブルー、珍しくねぇ?」
スピードがあがりグラッとする美愛の腕を掴み、俺と、ドアと座席の角との間に引き込んだ。
これで美愛は俺の背中に隠れて、あまりみんなからは見えない。
周りを気にせずにしゃべれる。
美愛は鞄を持たない方の手で、ほんの少しだけ俺のシャツの腰上の辺りを掴む。
なんとも言えず可愛い…
「シャツはね、持ってはいたの、
でも忘れてて、ヘヘッ」
「なんだ、それ(笑)」
なんてことない話をしてる間に花宮駅。