両想い【完】
***
下駄箱では仕方なく手を離し、美愛が傍に来るのを待つ。
「おぅ、祐、早くね?」
クラスメイトが挨拶してくる。
「はよ、まあね、彼女に合わせたし」
「えっ!!フリーだったじゃね~かよっ!!
誰だよっ!」
ダチが叫ぶうちに美愛が目の前に来る。
「お待たせっ!あっ、祐君、
お話し中に前に来ちゃった、ごめんなさい」
「んや、大丈夫。」
「えっ??!!井上、さん?お待たせって
…えっ?彼女っ?!?!」
「なんか、すげぇうるせ~、
んな、驚いてんなよ、失礼なやつだなぁ…
もう、こいついいから、
美愛、さっさと行こうぜ…」
***
手を繋ぎ歩き出すのをクラスメイトや、登校してきたやつらが見ていた。
「美愛?さっきのあいつ、
うるさくてごめんな、
悪りぃやつではないんだけどさぁ」
「ううん、私は何にも気にしてないよ
それよりも、彼女って言われて
気恥ずかしいなぁ」
少しだけ頬が赤くなった顔で見上げてくるから、思わず階段の踊り場で、チュッ、軽く唇に触れて音を立てる。
「ふっ…可愛い…まだキスたりないけど…」
「!!っ…こっ、ここ、は…学校だからね?」
「わかってるって。
さすがにあれより濃いのは、ね?」