両想い【完】
「美味いだろう?
実は料理は最近じゃぁ、美花より
美愛の方が上手いんだよ、
だから、わたしもついつい食べすぎてね
医者のくせに中性脂肪がまずくてね…」
「真一さん、なにか?」
「いや?なんでもないよ、美花さん、
ねえ、高城君、料理の腕の話なんてねぇ?」
わざとらしく言うお父さんは、ニコニコしながら食べていて、お母さんも笑ってる。
「祐君、今日のはどれが口にあった?」
美愛がこちらを見ながら聞いてきた。
「ん~…どれも美味いからかなり迷うなぁ~」
「ほんとう?それは嬉しいなぁ。
今まではお弁当で冷めてたでしょう?
今日は作りたてだから、いつもより少しは
美味しいって思って貰えたかなぁなんて…」
「いつもの弁当も今日のも、
全部好きだし美味いよ、また作ってな?」
「うん!あっ…でも夏休み…お弁当ない…」
「何をしょんぼりしているの、美愛ちゃん。
ねぇ、高城君は夏休みでも
自由になる時間はあるのかしら?
もし大丈夫なときは美愛の相手してくると、
普段留守にしている私達としては、助かるの、
だから、遠慮なく家に上がっていいからね」