両想い【完】
「バイトと学校の夏期講習はありますけど、
それ以外は長期で留守とかもないんで
許して貰えるなら、一緒に過ごしたいです」
「ありがとう、ぜひ!頼むわ。
光輝は国家試験や実習やらで忙しくなるし
主人はあてにならない医大教授でしょう?
私はね、インテリア会社で働いていてね、
海外買い付けやら、残業が多くてね…
美愛は中3あたりから一人に
なってしまうことが多くて…
だから、高城君、あなたという
素敵な彼氏ができて嬉しくて♪」
「こっちこそありがとうございます」
***
今まで正直、あまり気にしていなかった。
だけど、俺が思っていたよりずっと一人で過ごしていたんだと、家族事情を聞いて初めて分かった。
でも、この家族の中にいると、短いふれ合いであっても、そこにありったけの愛情があるのがわかる。
そしてスキンシップが多いのも、留守がちな両親がそうして、大切に思ってると伝えていたからなんだろうなと分かる。
きっと、だからこそ美愛はこんなに真っ直ぐ素直で、心を許した相手は深く受け入れ、俺の気持ちにも全てで答えようとするんだ。
***
しばらくして俺は幸せな気持ちで美愛の家をあとにした。