両想い【完】
そうか…
イライラしたのは、由紀と俺の関係ってマジでカレカノで、今の互いの『好き』ってこれでいいのかって思ったからだ。
さっきまでの俺は、今までの恋愛が普通のことで由紀との付き合い方も、まぁ、周りとおんなじ風にして、楽しくて欲求が埋れば…ってんで、深く気にしたことがなかった。
でも、美愛の人に対する誠実な想いを、聞いてしまったから…
だから余計に、いつもは感じない由紀の行動や話への嫌悪感、それ以上に由紀に対して恋愛感情の『好き』なんてものは、今まで感じたことがないと、わかってしまったんだ。
***
「もうっ!また由紀を無視するっ!」
俺の腕を掴みながら由紀がまた声をだした。
かなりの大声だ。
俺は通りから外れ、少し先にある公園まで由紀をつれていき、ベンチに座って由紀の顔を見た。
「考え事してたんだ、
聞いてなかったってことには謝るけど、
いきなり叫んだりとか、
大声やめてくれないか?」
少しムッとしたような低い声で言うと、驚いた顔をしながらも『ごめんなさい…でもあたし彼女だよね?』なんて言ってくる。