両想い【完】


「はい?何?デートの邪魔すんな。」


『祐君、真面目な話だから。
あたしが話終わるまで黙って聞いて、いい?
昨日、あたしは3丁目のコンビニに夕方居た。
そこで、あんたが腰に掴まらせた女を
バイクに乗せて来て
女を抱っこで下ろした。』


一息ついた山野の話は昨日の俺と里香さん。


『買い物をした女は直ぐに黒に
ブルーラインが入ったあんたのバイクに戻り
あんたはまた抱っこで乗せた、
二人でニコニコしながら。
女のメットはピンクだった。』


ここまで聞き俺は、俺にとって知り合いの奥さんであっても山野や、まして、美愛にとっては、見たままの事実は気分の良いものではないと理解した。


『これをあたしは美愛にこのまま話した。
で、美愛に聞いたよ?
知ってることかって。
美愛は…
用事があるから今日は帰ると言われた
その女性や用事の内容はわからないから、
祐君がお話ししてくれるのを待つね
ってさ…』


美愛…あの悲しそうな顔…


『美愛との約束で
見た事の話しかしないってことだから…
これで終わり、
あんた、振られるかもね…
美愛…夜、寝てないよ、
これも事実だから約束内ね…じゃね』


ツーツーツー…


しばらく携帯を耳に当てたままだった。




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