両想い【完】
夏休み2・初めてなこと
懸命に俺の思いに答えようとキスを受け入れてくれた美愛は、濡れた唇を俺が親指で拭ってやると、揺れる瞳で見上げてくる。
そして真っ赤な顔でそっと呟いた。
「今は幸せ……ありがと…」
***
その日は、それから昼を食べ、かなり外に居て体が心配なのもあり、俺の家に連れて帰った。
***
「初めてだな、いらっしゃい」
「おじゃまします!」
「あらっ?おかえり~バイトは?」
玄関を入ると、奥のリビングからお袋が顔を出して言う。
「あ~バイトはまだ。こいつ、彼女の美愛」
照れくさくてそんな言い方になってしまった。
「あっ初めまして、私、井上美愛といいます。
祐君とお付き合いをさせて頂いてるんです!!
どうぞ、宜しくお願い致しますっ!」
さっきの俺達にとっての大事件を乗り越えた美愛は元気一杯で挨拶する。
「まぁ!!いらっしゃい♪あらぁ~
ふふふっ…可愛らしい方ねぇ
美愛さんね、こちらこそ宜しくねぇ
気になってたのよぉ、夕食、いつも
ご馳走になってるのよね?
ありがとうね、
祐~初めてねぇ、会わせてくれたの」
まだしゃべり続けそうなお袋を無視し、美愛を俺の部屋に押し込んだ。