両想い【完】
「こちらでございます。」
おさえてくれているドアを通り、部屋の中へ。
ネットで見たのより広くてキレイに感じた。
「…ではごゆっくりおくつろぎください」
ホテルマンが退室し、二人きりになった。
が、美愛は『わぁ』とか『すごいぃ』とか言いながら部屋を落ち着きなく見ている。
「みぃあぁ?」
呼んでみると、なんだかアワアワしながら目を合わせない。
俺から近づいて『どうした?』と顔を見る。
「……ん~…わらわ、ない?」
「ん、笑わない」
「えっ…とね、り、旅行、楽しみで、ね
でも、あの、へ、部屋、に二人きりで…
今になって、ね?ドキドキして…
はっ恥ずかしくって…」
俺は思わず、頬を染める美愛を抱きしめた。
「~~祐君、っ、ドキドキが、
すっすごく、て…あぁ~」
「美愛…大好き…マジ可愛すぎ…」
「祐…く、ん」
抱きしめたままの俺に、だんだんと慣れてきたのか、美愛の鼓動が少し落ち着き始めた。
そして、美愛の両腕がゆっくり俺の背中に回った。
ほんの少し力を入れてから、顔を離す。
美愛も見上げてきて目が合う。
「うれしいな、旅行。楽しもうな」
ニコリとする美愛の唇にチュッと軽くキスをしてから腕をといた。