両想い【完】
とにかく水を止めて美愛の手や顔、水のかかった体をタオルで拭いた。
ベッドに腰かけて美愛の手を見てみる。
爪はキレイなままだが、手の甲は引っ掻いたような後があり真っ赤になっていて、特に左は血がにじんでいる。
「美愛…こんなに傷ついてるじゃん…」
「だって…私の手…汚いの…」
もっていたタオルで今度は擦り出した。
「やめろって!!」
強く手を握り押さえつけた。
「あいつが、触ったからか?
なら、もう大丈夫だ、な?
キレイになってる…」
「っ…だって、ね…
あ、あのひと…こ、こに…
く…く、ち…つけ…た
イヤなの…汚い…」
俺は美愛の指に優しくキスを始めた。
美愛は引き抜こうとしたが、そうさせなかった。
指を1本ずつ口に入れたり、甲も平もチュッと音をさせながらキスしたり、しばらく手だけを愛撫した。
力の入っていた美愛も段々とくったりして、俺に寄りかかってきた。
最後にまた左の甲にキスをしてから唇を離した。
「美愛、消毒…出来たから、もうキレイ。」
「ありがと…祐君…」
ようやく落ち着きのある声に戻ってきていた。
ベッドに並んで座り手を繋いでいた。
***
二人でどれくらいそうしていただろうか。