両想い【完】


でも、美愛は今教室に居ない。


美愛の空席が気になり落ち着かない…。


どうしたんだろうか?


山野を見ると、あいつも教室の入口をみて、顔をしかめている。


山野も分からないんだ…。


そうするうちに、チャイムが鳴り解散、HRのためにS3に戻らなくてはいけないが、俺は山野を捕まえて廊下のすみに引っ張った。


「痛いよ!祐君!!なんなの?!」


怒るのは当然だが、今の俺はそれに構ってられない。


「なぁ、美愛ちゃんどうした?」


すると、ぐっと何かを堪えるように顔をしかめて俯きながら、『祐君には関係ないから、…大丈夫だから…』と言った。


「昼休み、女子に囲まれてんとこみたけど?
あれからもどった?」


ハッと顔を上げてからすぐ俺から目をそらした。


「だい、じょうぶ…よ、きっと」


最後の方はよく聞こえなかったが、山野の態度から、やはりあれから美愛は戻ってなくて呼び出されたんだと想像がついた。


「呼び出し、だよな?何がらみ?」


俺は山野を問いただしたが、答えない。


「2組HRはじまるっ、離して。」


俺の腕を振り払い後ろを向いた。


その後ろ姿に思わず言っていた。


「俺今から探すっ!
もし山野が先なら連絡してくれな?
いいな!?」


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