両想い【完】
まだ暑さが残るその日は俺が日直で、美愛は自分の教室で待っててくれてた。
まぁ、直ぐ隣りなんだけどね。
俺は日誌を書き終えたので、帰りの仕度をしてから美愛の教室へ急いだ。
『バチンッ』と何かを叩く音と「真琴ちゃん!!」という美愛の声…
俺は慌てて教室に入った。
「あ…祐…」
そう俺に声をかけたのは暁人…そしてその声で山野じゃない一人の女子が俺を見た。
「どうした?」
聞きながらを辺りを見回す。
美愛は机の陰になっていたが、左の頬を手でおさえたままの山野と一緒に、机のすき間に座り込んでいた。
「美愛っ!平気か?」
「なんでそんな遊び女達を心配すんの!
高城君は騙されてんだよ?
二人は男なら誰だっていい……」
「うるせぇっ!!黙れっ!」
大声でその女を怒鳴り付けた。
でも、そいつは怯むことなくまた、話し出す。
「あたしは…ずっと暁人君が好きだったのに
山野真琴が横から入り込むからっ!
その女だって昨日、暁人君と
手を握りあってたし…何なのよ!!」
「暁人…この女に告られ中だったのか?」
「ん、まぁ…そんなとこ、」
煩い女の話しはきっと自己中な話なんだろう。
美愛はそんな風に俺を裏切るはずがないし。