両想い【完】
美愛は何も言わない山野に聞いている。
「話を…してただけで叩かれて、正直、
ムカついてる…でも…理由はわかった…
から…もう、いいや…」
「っ!なによっ!!いい子ぶって…
あ、あたしが…あたしはっ!」
鈴野はかっとなり山野というよりこちらにむかい怒鳴り付けた。
だが、四人は鈴野を責めるというよりは、『気持ちは変えられないのだ…有りのままを受け入れて欲しい』…と見ていたように思う。
「ただ…暁人くんが………
暁人君のことが好きで…それだけで…
もうっ!!いいわよっ…」
最後は小さな声でそのまま帰ってしまった。
***
「鈴野さん、ちゃんと前に進めるといいなぁ」
静かに美愛が呟いた…。
「何か…悪かったな…
これでもう、なんもしてこないと思うけど…
真琴ちゃん…大丈夫か?
ごめんな?」
「暁人君は悪くないよ、うん、
誰も…しょうがないね…」
山野がそう言って『帰ろ』と歩き出した。
暁人と山野はまだ俺らのようには、付き合っていない、らしい…
そんなときにこんなことがあって、二人は大丈夫だろうか?
チラリと並んで歩く暁人と山野を見てみる。
あまり、話しはしてないみたいだ。