両想い【完】
俺がヤキモキしても仕方ないんだが、いつも5人でワイワイしていただけに、これからが気になった。
***
みんなで電車から降り、暁人と山野と別れて美愛と二人、家まで歩く。
「ねぇ?祐君…」
「ん?」
「両想いって…すごいことなんだね…」
美愛が繋いだ手に少し力を入れながら話す。
「だなぁ…」
俺もそう思う。
俺と美愛は想いが届き、今はそれを大切に育んでいる時なんだと思う。
でも、俺達の周りにはいろんなやつの『想い』があって、それぞれに真剣な大事なものだと知ってる。
暁人や山野、鈴野の想いも、全ての人のものが報われることはないんだろうな…
「俺らは幸せだな?」
顔を覗きこみながら聞くと、頬を染めながらも『幸せ』と呟く。
その照れた顔になんだか無性に触れたくなる。
チュッ…
「…!!」
美愛の右頬へキスすると足を止め、繋いだままの二人の手で美愛が自分の頬に触れる…
「美愛…好きだ…」
普段は言葉でなんか、言ったりしないんだけど、なぜだか『今』伝えたくなった。
立ち止まったまま、目を開いて俺を見上げている。