両想い【完】


しばらく見つめていると愛しい笑顔をつくる。


「私も…好き…」


そう言うと俺の胸にポフッと、もたれかかってきた。


「甘えた美愛…」


「今だけ、だもん…」


繋いでいた手は繋いだまま下に下ろされ、俺の右腕は美愛の腰を引き寄せた。


しばらくそうして寄り添っていた。


ゆっくりと頭を上げた美愛は、少し恥ずかしそうに、でも戸惑ったように目がクルクルする。


「どした?」


「ん…祐君。えっとね、
私…こうして触れ合ったり抱き合ったり…
嫌いじゃない…ううん、好き、かな
だから、嬉しい…恥ずかしい…けど」


「ん、俺も美愛にはいつも触れてたい」


「で、でも…あの…
祐君は…困っては…ない?」


「え?困る…俺が?」


「ぅん…前に…あの…体…が…
だ、だから、私…加減っていうか…
分からなくて…祐君の望むものと
私が思う触れあいが…ずれてるのか……」


何を言いたいのかやっと分かった。


あと少ししたら『全てを俺に』と約束しているから、そっちのことが普段から気になってるのは、当然だろうし。


だから、こんな風に抱き合ったりキスしたり…俺は辛くないのか心配していて、自分はどうしたらいいか、分からないんだ。


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