両想い【完】
今度は山野が振り返り俺をみたようだったが、すでに俺は山野に背を向け階段をかけ下りていた。
何か、言ってたような気もするが、聞こえなかった。
美愛…美愛だけを思い駆け出した。
無事でいてくれ…
***美愛視点***
第2講堂横の部室棟は、授業中は誰にも目につかない。
美愛は4人の3年に昼休みに呼び出され、ここに連れてこられていた。
……多分、理由は2週間前に3年の男子から告白され、2日前に
『先輩の優しいところや話しやすいところはとても素敵で尊敬しています。
でも、恋愛の好きではなくて…。
尊敬する先輩ではダメでしょうか?』
と伝えたことと…関係してる?
その先輩は『今はただの先輩でも、これから先の未来は美愛ちゃんにも分かんないよね?なら、俺まだ諦められないから…好きでいさせてね』と言い帰ってしまった。
今までも、誠実に向き合えば向き合うほどに、未来は分からないからとか、嫌いでないならそこから始めようとか…いわれて、諦めるよとか、わかったと引く人は少なかった。
そのたびに私のしていることは間違っている?と不安になりながらも、その姿勢を貫いてきたのは理由があった。
過去に…イヤな辛い思いをし、自分はちゃんと相手と向き合い真剣に受け止めるんだと、心に決めたのだ。