両想い【完】
「ここにしてほんとよかったな、ほら…」
話ながらスプーンに一口分乗せて美愛の前に差し出した。
「…ん、いただきます…」パク…
一瞬戸惑い照れながら、パクリとビーフシチューを食べる美愛に嬉しさが込み上げる。
「ん~!ほんとに美味しいぃ
今度は私がビーフシチュー頼もうっと」
そして当然のように、ニコリとしながら、自分のをすくって俺の前に差し出す美愛。
もう、前のイチゴで少しは慣れた俺は、あまりドキドキすることなく、バクッと食べた。
それから夏の旅行の時の話や、暁人達の話、今日の話、文化祭…いろんな話をしながら食事を終わらせた。
タイミングを見計らいフッと、照明が落ちる。
すると、birthdaysongが流れだし、店員がろうそくのついたスイーツプレートを持ってやって来た。
店内にいた他の客もこちらに注目しテーブルにプレートが置かれると拍手が起こった。
「おめでとうございます♪」
いっそう強く拍手が鳴って二人で会釈しながらお礼をした。
パッと照明も戻り二人で改めてプレートを見てみる、と…
『happybirthday to mia』のチョコ文字が皿に書かれ、ハート型にフルーツがたっぷり並び、ベリームースが真ん中にあった。