両想い【完】
「ふんっ!…
高城君もなんだかたいしたことないねっ…
たかがキスでそんな怒鳴んないでよ…
どうせその女、誰とでも簡単に
寝てんでしょ~…」
ヘラっとしながら俺と美愛を傷つける言葉を吐く女…心底ムカついて仕方がなかった。
「へぇ…」
『誰とでも簡単に…』と言われた瞬間、俺の腕の中でビクッとし微かに震え続けてる美愛。
慰めるように優しく背中を撫でながら、抱きしめる腕に力をいれると集まった生徒の中から聡が話し出した。
「それってあんたがいちいち
男子に聞いたのかよ?
1年の時から2年の今まで、美愛ちゃんと
寝たってやつ、俺は一人しか知らねぇけど、
あんたは知ってんだ、誰だよそいつら。」
「なっ!誰とか、そんなん知らないわよっ!
だけど、みんな言ってるじゃない!」
「知らねぇのに、無責任なこと言うな!!
みんなってなんだよ、小学生みたいな
こと言ってんじゃねぇよ!!
おいっ!ここにいるやつで美愛ちゃんと
付き合ったとか、寝たとか、いるのかよっ?」
聡は女に言った後に周りのやつらに聞いた。
もちろん誰も何も言わない。
「…美愛…恥ずかしいかもだけど、
我慢してな?」
微かに頷いたのがわかり、俺は声を出した。