両想い【完】
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周りはざわつきながら、それぞれのクラスに戻り、美愛と俺に嫌がらせをした相模は、こちらを一睨みして友達を引き連れ、どこかへ行ってしまった。
聡も『美愛ちゃんは作業いいから』と言ってクラスに戻った。
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俺はラウンジにある椅子に美愛を座らせ、直ぐ隣に自分も座った。
「美愛?大丈夫か?
ごめんな…泣かせるようなことになって…
不意討ちくらうとか、ほんとだせぇ…」
美愛の顔を正面から見ながら話す。
ふるふると横に首を振る美愛。
「祐君を信じてる…から、
大丈夫…ちょっぴり…うぅん、たくさん
悔しいけど…祐君のことは信じれてる
だから、もうそんな風に言わないでね?」
美愛の両手を握りしめながら『ありがとう』と呟く。
少しの間、見つめあう…
「美愛、キス…いい?」
普段は聞いたりしないが、さっきのことがある。
すると頷く美愛。
俺は美愛の唇に甘いキスをする。
軽く触れるだけの、でも気持ちのある大切なキス…
離れた唇がまだ熱い…
美愛にしか感じない甘いキス…
2、3回繰り返して、ようやく体を椅子に座り直した。
これより酷い嫌がらせはもう、ないとは思うが…疲れた1日になってしまった。