両想い【完】
「あ、あのっ、井上さん、ほんと、
あんときはありがとう…
俺…」
直ぐに戻り始めた美愛に、何か伝えようと話すが、途中で男がぐらりと傾き、引っ張った相模の方に倒れかかる。
「もうっ!用が済んだらいいでしょ!」
相模はそのまま、連れて行こうとしている。
「ほんっと頼むから、もう俺に
構わないでくれよ…」
ハンカチ元カレは心底嫌そうに顔を歪めながらまた、引き離し相模に言う。
引き留められた美愛は少し困った顔で教室に入ってしまっていいのか、決めかねていた。
「あのぉ~これから混む時間で…
お話し、後ではダメですか?
私、12時までなのでその後なら…」
言いながら、俺の様子を伺ってくるので、そっと頷いてOKを示した。
「じゃあ、待たせて貰う」「必要ないよ!」
同時だった。
男は、ため息をつきながらチラッと相模を見たが『後で来ます』と行ってしまった。
相模は『待ってよ!』と追いかけていった。
俺は手を軽く上げて美愛に了解を伝え、そこから離れた。
美愛はみんなを見送り、『いらっしゃいませ』と声をかけながら教室に入ったようだった。
***
美愛が休憩になったら二人で食べようとたこ焼きなど買いながら時間をつぶしていた。