両想い【完】
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そう…1ヶ月位前かな、通りの角でワゴン車のアイス屋がいて、俺たちは近くの花壇のふちに座り食べていた。
幼稚園児らしき男の子が母親にかって貰ったアイスを手に歩いていたが、財布をしまっていた母親を振り返った。
そのときに通りの角から来た男にちょうどぶつかり、アイスをズボンに押し付けてしまったのだ…。
アイスが手からなくなった男の子は泣き叫び母親は焦っていた。
するとすっと立ち上がった美愛が、『これ持っていて』とアイスを俺に渡して、怒りの表情の男にハンカチを差し出し、さらに、『僕、男の子はそんなことでは泣かないんだよ~』なんて笑顔で話しかける。
「あなたも、もちろんこの子に怒ったりとかないですよね?僕、謝れるよね?」
渡されたハンカチでズボンを拭きながら、どうするべきか考えてる顔の男。
美愛は膝を砂利の地面について、男の子に話を続ける。
しばらくして、『お兄ちゃんごめんなさい』という頑張る声が聞こえ、母親も『すみませんでした』と言ってる。
そう言われれば男も今さらって感じになったのか、怒りも静まり男の子の頭を撫でて許してやっていた。
親子は頭を下げながら行ってしまった。