両想い【完】
ズボンをなんとか拭き終わった男は美愛に『ありがとう』を言い名前を訪ねていた。
しかし、美愛は『何でもないことです』と名乗らずに俺の元に戻ってきた。
男はしばらくこちらを見ていたが、俺達が食べ終わり、美愛が男に会釈し駅に向かうとようやく諦めたのか、男もどちらかに行ってしまった。
***
その後、どんな過程を経て美愛を知ったのか
***
相模と別れ話がこじれてこちらにまでとばっちりってことかぁ、面倒だなぁ…
そんな風に思いながら美愛の肩を抱き寄せて二人の前に立った。
「あの、俺…河野真也(こうのしんや)、
あのときは名前を聞けなくて、
どうしようかなぁって思ってたら、
先月この学校のmissコンを
netで観て、二人が居て…」
あぁ~そうか…文化祭の宣伝で学校のホームページに載せるとかで、親に承諾書書かせたんだっけか?
もちろん名前は載せてないが、写真があれば、聞いたりすれば美愛は有名だ、直ぐに分かっただろう。
「で、ダメだってわかってるんだけど、
気持ち…伝えたくて…押しかけたんだ…」
一呼吸おいてから河野が美愛を見つめる。
「井上美愛さん、俺…あの日に
一目惚れしました。好きです!!」