両想い【完】
「美愛?あたし…今日バイトなんだよね…
大丈夫?帰り…」
「うん…大丈夫だよ…いつもありがと…
祐君も…ありがと。」
チラッと俺を見ながら山野が美愛に言うと、
美愛はなんとか涙の止まったらしい顔を無理やりな笑顔にしながら返事した。
自然と俺は言ってた。
「山野、大丈夫だ、俺時間あるし、
送るから、さ。」
美愛を気にしながらも時間がないらしい山野は急ぎ足で学校を出ていった。
しばらく二人でまた静かに座っていた。
「私、ね、さっき女子の先輩に偽善者って…
言われちゃって…ダメだなぁ~
自分のことには自信と責任持てって
言われてるのに挫けそうに
なっちゃったよぉ…」
涙が止まったらしい美愛が、俺を見ないまま俯き気味にして話し出した。
「俺が知ってる美愛ちゃんは
偽善者じゃない。全然。偽物じゃなくて
ほんとの優しさだらけだ…
そいつが分かってないだけだ…」
「祐君…」
「なっ?んな、美愛ちゃんとろくに
話しもしたことねぇやつの言うことなんか
忘れちまえよ」