両想い【完】


「いやぁ、昨日からお二人は独走でしたぁ
凄いですねぇ…
お二人はお付き合いされてるんですよね?」


ニヤッとしながら司会のやつが聞いてくる。


「そうですけど、何か?」


向けられたマイクに無愛想に俺が答えると、司会者はさらにニヤニヤして言った。


「じゃあ、お互いにさらに
人気がでちゃって心配でしょう?
なんで、ここでちょっと
見せ付けときませんか?」


「はっ?」


嫌な予感がする…思わず美愛の手を握りながら後退りする。


「イヤだなぁ、逃げないで下さいよ
二人がめちゃ仲いいってみせとけば、
外野も、今までより騒がなくなるんじゃ?
先週は大変だったんでしょ?」


こいつはあの騒ぎまで知ってて話してるんだ。


「いや、今まで通りで俺らは困らないんで」


舞台から降りようとしたが、観客となった生徒達がここぞとばかりに騒ぎ出す。


「皆さんも二人のこと、納得
しておきたいですよねぇ~?」


会場からは『ハグ』『キス』の声が上がる。


「ほら、皆さんも望んでますし
コンテストダブル1位なんて、そう
ないですよ?記念にチュッと。どうぞ!」


また、二人にライトが当たり『キス』の掛け声は止まないなか、美愛を見てみると真っ赤になり恥ずかしそうに俺を見ていた。


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