両想い【完】
美愛は会場になる市内のグラウンドへ一人で来た。
なんとなく、葵が自分に何か伝えたいのだっていうのは、分かっていた。
夏休みに遊びに来たときに、祐君とカレカノになれたんだと話したら、眉間にシワをよせながら、睨み付けてきて、『ズルい』といって帰ってしまった。
それからは葵から連絡が減り、10月になると今大会が始まりサッカー漬けの毎日だったようで、メールも何もかもなくなっていた。
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葵のチーム側の応援ベンチに座り葵を探すと、直ぐに見つかり、向こうも美愛をみつけ、しばし、見つめ合う。
葵は軽く微笑んでから手を上げるとチームメイトのところへ戻った。
午前9時、キックオフ!!
相手は昨年も葵達が戦い、準々決勝で負けたチームだった。
前半、葵のチームは上手く体が動かないのか、相手に攻めこまれて2-0。
美愛は声の限りに葵を応援するが、葵に今までのように客席を見る余裕はなかった…。
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後半が始まり、ようやく葵のチームは上手く機能し出した。
まずは1点を返し、このままと押しているときだった。
鋭いホイッスルの音と『葵っ!』とチームメイトが叫ぶ声と、美愛の目の前で脚を抱えて倒れこむ葵の姿…